オープンデータ・アイデアソン in 東京
~オープンデータでルールを超える~
開催報告

 平成25年11月21日(木)に「オープンデータ・アイデアソン in 東京 ~オープンデータでルールを超える~」が開催されました。オープンデータを活用するサービスやアプリケーションを考えるだけにとどまらず、民間企業から見てどのようなデータに価値があるのか、また自治体の取り組みに際して何が障害になるのかといった実践的な議論を目指し、総勢91名もの方に参加いただきました。

13:30 開始

 冒頭には、経済産業省商務情報政策局情報政策課情報プロジェクト室室長・和田 恭様、総務省情報流通行政局情報流通振興課企画官・井幡晃三様より、ご挨拶いただきました。

経済産業省・和田様 総務省・井幡様

13:50~14:05 ライトニングトーク

 続いて、4人のモデレータにオープンデータおよび地域の課題について5分間で語る、ライトニングトークに登壇いただきました。

タイトルモデレータ(敬称略)
「地図作りを通じて考えるユニバーサルデザイン」(PDFはこちらOpenStreetMap Foundation Japan・東 修作
「安心して暮らせるまちづくりを考える」(PDFはこちら国際航業株式会社・政木英一
「横浜市のオープンデータの取り組み」(PDFはこちら横浜市政策局政策部政策課・関口昌幸
「オープンデータで地域の安全と安心を知る」(PDFはこちら泉交通安全協会・櫻井元美

OSMFJ・東様 国際航業・政木様
横浜市・関口様 泉交通安全協会・櫻井様

14:15~15:55 ディスカッション

 その後、社会課題テーマごとに10のテーブルに分かれ、参加者それぞれの視点から地域の課題を見つけ、どのようにしたら解決することができるのかアイデアを練り、さらにアイデア実現のために必要となるデータはどのようなものか、実現にあたってどのようなハードル(技術、ルール、人等)が考えられるか、約100分間にわたって議論いただきました。

テーブルNoタイトルファシリテーター(敬称略)
1みんなで見守る高齢者福祉の仕組みをつくる江口 晋太朗(OKFJ)
2持続可能なバリアフリーマップづくりを考える東 修作(OSMFJ)
3災害が起きたときの行動をサポートする政木 英一(国際航業)
4オープンデータを使って地域の交通安全を考える丸田 哲也(NRI)
5東京オリンピックにむけたおもてなし交通と生活交通和田 陽一(国際航業)
6高齢化と路線バスの利活用高橋 陽一(LODチャレンジ・インディゴ)
7子育てしやすい街をつくる関 治之(Georepublic Japan)
8働くママ支援を地域で行う前田 由美(MRI)
9オープンデータでスポーツ振興乙守 信行(LODチャレンジ)
10オープンデータで自分たちの街を売り出そう津国 剛(MRI)

 アイデアソンでは、ディスカッションの進め方に決まった方法はなく、テーブルごとにファシリテーターの皆様に応じたスタイルで進められました。付箋や模造紙を活用したり、クリップボードに順番にアイデアを書いていったりと、その手法も創意工夫あふれたものでした。ご参加いただいた方は、誰もが真剣に考え、積極的にご意見を述べられており、その熱意に圧倒されるばかりでした。

16:25~17:15 結果発表

 最後に、各テーブルで議論いただいた内容を、それぞれ5分間で発表いただきました。

テーブルNoアイデア名称利用するオープンデータ
議論の概要
1
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高齢者の経験とスペースを世代を超えて共有するマッチングサービス地域のニーズがわかる地理情報と地理空間データ、空き家・空き室情報等
「高齢者福祉を支える仕組み」について検討した。課題としては、世代間の交流断絶や、高齢者の仕事がないこと等が挙げられた。課題を解決するためのアイデアとして、高齢者が持つビジネス経験や知恵と、さらに空き家・空き室を自身が保有していることも多いため、そういった高齢者と、起業や社会課題解決を目指す若者をマッチングすることで、ビジネスアドバイスとインキュベーション施設を同時に実現することが可能になる。
2
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見えない地図、予測する地図・通れないところマップ、持ち歩く「マイマップ」、スマート白杖・GPSつきの靴、障害者も健常者にデュアルユースなアプリ、レゴ地図・3Dプリンタ地図道路(歩道)情報、道路工事情報、高さや勾配の情報、車椅子版通行実績情報、不法駐輪自転車の場所、危ない箇所マップ報等
「バリアフリーな社会を実現するためのデータと、持続可能なマップ/サービスづくり」について検討した。バリアフリーマップの課題として、情報の更新が滞っていることや、受け手の障害の種類によっては情報が十分でないことが挙げられた。これらを踏まえて、持続的なメンテナンス方法、マネタイズできる仕組み、規格やデータの統一等を考慮し、様々なアイデアが出された。例えば、バリア状況を明らかにするデータを用いた「バリアフリーな体験を提供する地図」や、振動や音声によって道を知らせるサービス(「見えない地図」)、通れないところを事前に知らせるサービス(「予測する地図・通れないところマップ」)、あらかじめルートをシミュレーションし持ち歩けるサービス(「持ち歩く「マイマップ」」)、近くにいる障害者のアラートを健常者にプッシュ通知する「デュアルユースなアプリ」などがアイデアとして出された。
3
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落ち着いて行動するための支援ツール、被災者のための支援ツールPublicなスペース(駅、地下街など)情報、要援護者情報、避難訓練情報等
安心して暮らせるまちづくり(防災)をテーマに、住民の安心安全の向上に寄与するためにはどうしたらよいかを議論した。課題として挙げられたのは、特に、3.11では初期フェーズにおいては、情報を五月雨に流しても、モラルや知識は個人差があるので、人は勝手な行動をとり、結果混乱するケースが見受けられたとの意見があった。そのために安心感を与える情報を配信することで、心のゆとりが生まれ、周辺の人にも優しくできるのではないかという仮説のもとに、具体的なサービスとして、「落ち着いて行動するための支援ツール」及び「要援護者のための支援ツール」がアイデアとして挙がった。利用できる公共データとして、スマホ等を充電するために必要な電源情報、どこに泊まればよいかの情報、物資の供給情報等が挙げられ、自治体の方からは、問題なく公開できるデータのはずであるとのコメントをいただいた。他方で、要援護者情報等については、個人情報なので、フルオープンではなく、地域のくくりの範囲内で、非常時にのみ共有できる仕組みを構築することが重要ではないかとの結論に至った。
4
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まちランキング(防犯)、リアルタイム避難ナビ犯罪種別×位置情報データ、避難所情報、防犯カメラの情報等
オープンデータを使った地域の安心安全な仕組みの実現について検討した。まずは参加者全員で課題の洗い出しを行い、出てきた課題をグルーピングして、「防犯」と「防災」の2つにテーマを絞った。防犯グループでは犯罪のない街にすることを目指し、犯罪に関する調査結果や警察一人当たり犯罪件数等の「犯罪情報」と、防犯カメラや顔認識技術等による笑顔認識情報や歩行速度情報等「まち情報」をマッシュアップして、「まちランキング」として地域に公開し、警察と地域でのパトロールや、コミュニティや防犯教育に活用するといったアイデアが出された。防災グループでは、災害からすぐに避難できる街にすることを目指し、アイデアとして、「避難経路を示すナビ」「道路が通れるかどうかがわかる」等が出された。前者については自治体の避難所情報やその開設情報等が、後者については民間のカーナビのGPS情報等が活用できそうだとの意見が出された。
5
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個人の興味に沿うマッチング・シェアを促すシェアリングSNSシステム、情報の可視化、東京ID発行、オールインワンカードの発行、人の流れを誘導して混雑・混乱回避を考慮するサービス入国/施設/観光スポット/ルールなどローカルの情報等
「東京オリンピックにむけたおもてなし交通と生活交通」について検討した。課題として、訪日外国人が増加する為、行動支援や助け合いが必要になること、公共交通の混雑・遅延が予想されること、融通の利かない個人認証などが挙げられた。課題を解決するアイデアとして、車の助手席の提供やルームシェア等個人の興味に沿うマッチング・シェアを促す「シェアリングSNSシステム」、ピクトグラムのサイネージ化等の情報の可視化、人の流れを誘導して混雑混乱回避を考慮したイベント設計・インフラ設置などが挙げられた。アイデアを実現するために必要なデータとしては、個人からは属性やGPSの行動履歴、シェアしたい情報等、民間事業者からは航空券、ホテル、交通、観光スポット情報、行政からは入国、施設、観光スポット、ルールなどのローカル情報が挙げられた。
6
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オンデマンドな運行形態(脱路線バス)、路線バスの多機能化、路線バスや他交通手段との乗り継ぎ支援小地域別世帯構成/年齢構成、道路幅員情報、バス系統別時刻表、停留所位置情報等
高齢化、人口減少、郊外の危機、コンパクトシティ構想、公共インフラ老朽化等の社会変動に対して、公共機関としてのバスがどのように寄与できるかを議論した。 課題解決のアイデアとして、利用者の要望に応じてルート/時間が設定できるオンデマンドな運行形態(脱路線バス)や、特に通学通勤時間帯以外について路線バスの多機能化(昼間に人ではなく物を運搬する等)、路線バスや他交通手段との乗り継ぎ支援が挙げられた。
7
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生涯学習受講者のスキルデータベースと依頼フォーム、公共用地・農地などの地域の空き情報まとめ+利用アイデア収集サイト、子育てに資する資源活用アイデアのクラウドファンディングサイト、転入者向けの子育て情報まとめサイト生涯学習者のスキルDB、公共用地等の空き情報、保育園の応募状況(倍率)情報、NPOなどのイベント情報、個人情報(転入者などの属性情報)等
「子育てしやすい街をつくる」をテーマにディスカッションを行った。子育てリソースの有効活用という観点からは、課題として地域には子育てに使える資源がいろいろとあるのに把握し切れていないことが上げられた。課題を解決するアイデアとして、生涯学習受講者のスキルデータベースと依頼フォームを作り、そういった方々が学校の中で子供たちに教える機会を創出したり、公共用地・農地などの地域の空き情報をまとめ、利用アイデアを収集するサイトをつくり、「はじめてのおつかい」イベントを開催するなどの意見が出された。 参加しやすいコミュニティづくりという観点からは、コミュニティにはじめて参加する人向けのイベントを開催する、ゲーム形式のイベント参加の仕組み等がアイデアとして出された。 また様々に散在している情報を個々人向けにパーソナライズして配信することも重要であることが議論された。
8
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地域の子育てサポートカレンダー、子どもの成長見守りサービス、子どもの居場所モニタリングシステム、食材調達お助けシステム、年間行事情報、保育園情報等
「働くママ支援を地域で行う」ことについて議論をした。一人で子育てをするのは大変であるという課題に対しては「地域の子育てサポートカレンダー」によって、家族や周囲の人々と予定を共有し、サポートし合う仕組みを考えた。働いていると子供の成長を見逃してしまうという課題に対しては、子供が初めて立った時の映像を入手できるサービスが考えられた。子供が少し大きくなると居場所の把握が難しくなることに対しては、携帯を持たせずにタグなどで居場所を把握してはどうかなどのアイデアが出された。働くママにとっては買い物にいくのも大変との課題に対しては、誰かがついでに買っておいてくれるなどまとめ買いや協力の仕組みがアイデアとして出された。
9
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オリンピックに興味を持たせる情報提供、海外向けキャンプ地情報提供選手情報、キャンプ地情報、聖火リレーのコース情報、競技情報、の情報、観光(温泉等)情報
「オープンデータでスポーツ振興」をテーマに議論した。途中からはテーブルを囲んだスタンディングディスカッションで活発な議論がなされた。 課題としては「スポーツに興味がない」ことが挙げられた。課題を解決するアイデアとして「オリンピックの感動を子供に体験させる」「選手・審判の視線を体験する」「選手や応援者からの発信」「背景のドラマを知る」等が挙げられた。 また、別の課題として「海外向け情報がない」ことも挙げられた。それを解決するアイデアとしては「留学生を情報発信者へ導く」「道の駅情報の発信」などが挙げられた。
10
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千葉市を売り出すための情報発信(ちょっと足をのばせる、ちょっと立ち寄りたくなる)千葉市観光ガイド、歴史的建造物、ロケ情報、飲食店情報、ニッチな資源(鉄道、文化財)等
「オープンデータで自分たちの街を売り出そう」をテーマに議論を開始し、議論にご参加くださった千葉市を事例にディスカッションを具体化した。千葉市は、房総半島、東京ディズニーランド、幕張メッセ等へ行く人々の通過点であり、人々が足を止めてくれれば街がより活性化するのではないかとの意見が出た。 それに対して、「千葉市観光ガイド」「歴史的建造物」「ロケ情報」「ニッチな資源(鉄道、文化財)」や、イベントの履歴を積み重ねたり、行政情報だけでなく口コミや地元の情報を使って、街のショートストーリーに合せたデータを活用するなどして、「ついでに足を延ばしてもらえる」、「ちょっと立ち寄りたくなる」ような情報発信をしてはどうかといったアイデアが出された。

 東京会場での成果発表は、ファシリテーター自ら行うところもあれば、立候補した参加者が行うところもあり、グループごとにさまざま。またアイデアそのものもバラエティに富んでおり、課題に対してストレートに挑んだものから、ちょっとひねったもの、ニッチだけど確実にニーズがあるものなど、その幅の広さに驚かされました。成果発表の後、経済産業省の泉本様と総務省の後白様より感想をいただきました。また、参加者からも次のような感想をいただきました。

  • とても密度の濃い時間を過ごせました。早速ユースケースコンテストの応募への企画を練ります!(IT事業者)
  • 立場の異なる方々からの貴重なご意見を賜り、大変参考となりました。(自治体関係者)
  •  アイデアソンの終了後、会場にてささやかな料理と飲み物を用意して、懇親会の場を設けました。こちらにも多くの方にご参加いただきました。東京近郊では本アイデアソン以外にも、オープンデータに関連したイベントがすでにいくつも開催されていることもあって、参加者の中にも二度目、三度目という方もいらっしゃいました。ただ、そういった方でも、イベントごとにカラーが異なることや、新しいアイデアが出てくることに驚かれていました。多くの参加者やファシリテーターの方々のおかげで、オープンデータについて考えるだけでなく、地域や社会の課題について皆で改めて認識する場としても、大変有意義なイベントとすることができました。

     ご参加およびご協力いただいたすべての皆様に感謝申し上げます。

    ※アイデアソンの模様を記録したアーカイブ映像は、近日中に公開いたします。

    問い合わせ先

    オープンデータ・アイデアソン事務局(JIPDEC内)
    od-tokyo[at]tower.jipdec.or.jp