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オープンガバメントラボリニューアルに寄せて

オープンガバメントラボは、2010年7月に日本全体のオープンガバメントを強力に推進するために設置されました。当時は、オープンガバメントといっても誰も知らない状況で、先行する米国や英国の取組を勉強しながら、「透明」「参加」「協働」について手探りでプロジェクトを進めていました。

 

対話・投票型サイトであるアイデアボックスから始まった日本のオープンガバメントですが、海外を見ると、対話・投票型サイトだけではなくデータ公開サイト、コンテスト等の新しい取組が次々と行われていました。そこで、日本も従来の府省の枠を超え、オープンガバメントのハブの役割を果たすオープンガバメントラボを設置しました。このラボという名前には、失敗を恐れず果敢に新しいことにチャレンジするという意気込みが込められています。このサイトでは、オープンガバメントに関する国内外の様々な取組情報を一元化するとともに、BIを備えたデータ提供サイト、行政が情報提供するのではなく参加者みんなで国内外の情報を集めるwiki、テキストマイニングによる各種分析等、これまで行政で行っていなかったことに次々と取り組んできました。また、このサイトを見て、新たな取組に興味を持った府省に推進方法をアドバイスするなど、日本のオープンガバメントを推進するためのツールの機能も果たしています。これらの取組を受け、内閣官房の電子行政タスクフォースでも、オープンガバメントに関する議論が本格的に開始されました。

 

一方、2011年3月に東日本大震災が起こり、オープンガバメントチームは、災害対策と復興を最優先事項として活動を始めました。この年に世界のオープンガバメント、オープンデータ戦略が次々と公表されたため、世界のオープンガバメントに日本の戦略が出遅れたという指摘をする人は多いですが、実際には、日本のオープンガバメントチームは戦略を作るのではなく、主に実フィールドで活動していました。被災地テキスト分析、電力データの公開、twitterアカウント自動公認スキーム、PDFから機械可読データ提供への呼びかけ、節電アイデアについて意見交換を行うアイデアボックス、復興制度情報のオープン化等、オープンガバメントの経験を活かして次々と実施したプロジェクトは国際的にも非常に高い評価を受けています。

 

特に電力データの公開は様々なアプリやサービスを生み出し、急速にオープンデータが注目されるきっかけとなりました。その後、電子行政タスクフォースがまとめた戦略もオープンデータにフォーカスされ、それを受けて様々なプロジェクトへと展開されていきました。

 

こうしてプロジェクト中心に取組が進んでいく中で、ラボとしての試行錯誤的な取組には十分な時間が取れませんでした。オープンガバメントを開始して約5年が経過し、2014年9月にtwitterの1000tweetを機会に行われた@openmetiアンケートおいて、「透明化」は進んだものの「参加」や「協働」に関してはまだまだ進んでいないと評価を受けるなど、オープンガバメントを推進する上で反省点や課題もありました。

 

そこで、全国的に行われているオープンデータを活用したイベントの成果を集約し、一元的な検索を可能にするとともに、アイデアやアプリを創出した人材とビジネスパートナーとのマッチングを支援するKnowledge Connecter(β版)を立ち上げ、「参加」「協働」に力を入れているところです。
それだけでなく、これまでの取組を振り返り、「透明性」「参加」「協働」の原点に帰ってオープンガバメントを推進することが重要だと考えています。また、「参加」「協働」の領域はまだまだ模索の領域だと感じています。今回は、そのスタートラインとしてオープンガバメントラボのリニューアルを行いました。オープンガバメントは、行政と国民とが一体となった新しい社会つくりの活動です。オープンガバメントラボは、単なるポータルサイトではありません。皆さんの参加により作り上げていくコミュニティです。地域のコミュニティと相乗効果を出しながらオープンガバメントに取り組んでいきましょう。
皆さんからのご意見やご提案等をお待ちしています。

事務局

支援団体からのメッセージ

Code for Japan

日本のオープンガバメントについて今年期待するのは、戦略に基づいたオープンデータ活用が進むことです。そのためには、組織毎のオープンデータポリシー作りが必要です。
そもそもオープンデータはオバマ大統領が2009年1月21日に発表した「透明性とオープンガバメントに関する覚書 」でも述べられているように、オープンガバメントのための基本言語のようなものです。
しかし、今の日本国内オープンデータ活用においては、手段にしかすぎない「データの公開」の方法ばかりに目が行っているきらいがあります。
ただデータを公開して、アプリケーションコンテストやハッカソンをやるだけでは良いサービスは生まれません。総花的にデータを公開して放っておくのではなく、データを提供することを通じて組織ごとのどのような課題を、どのような人たちとどう解決していきたいかを示すポリシーが必要なのです。実際、ニューヨーク、シカゴなどのオープンデータ先進都市はオープンデータポリシーを公開しています。
オープンデータポリシー作成は、是非関連コミュニティとの共創で行なって欲しいと思います。委員会のような場所に一部の有識者を呼んで決めるのではなく、多様な人々と対話を重ね、民間側で主催するイベントやワークショップにも積極的に参加していただきたいです。オープンな場に出て行かずに、オープンデータやオープンガバメントを検討するのはナンセンスです。Code for Japan や各地のコミュニティも、勉強会やワークショップをよく行なっています。今年はさらに多くの人々をつなげ、「ともに考え、ともにつくる」ための活動を行なっていきますので、よろしくお願い致します。

一般社団法人コード・フォー・ジャパン 代表理事 関 治之

LOD Initiative

世界はオープン化に向けて動いています。世界的にも政府のオープン化は火急の課題となっています。我が国も英国でのG8サミット以来、様々なアプローチでオープンガバメントに向けた動きが加速していることは大変すばらしいことだと思っています。
ことにオープンデータに関して言えば、単に政策や行政といった側面だけでなく、それを実現する技術面と一緒になってよい方法を作っていくことが求められています。そのためには、行政、研究者、技術者、市民といった人々が共にアイデアを出しかつ実践していくことが必要です。
我々は技術開発・普及を中心とするNPOとして、この輪の中に入って、我が国のオープンデータの推進に貢献したいと思っております。オープンガバメントラボはこの動きを実現する重要な機能を担っており、私共も大いに期待しています。

特定非営利活動法人リンクト・オープン・データ・イニシアティブ 理事長 武田英明