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多様な参加と合意形成を可能にするオープンガバメントとは?〜産官学民、7人のプレイヤー課題と可能性を語る

経済産業省・オープンガバメントラボでは、情報技術(IT)を活用し、多くの国民の参加を前提とする対話の可能性を追求し、複雑な社会における合意・政策形成のあり方を、産官学民の実践者とともに探り続けています。

今回企画した座談会では、「開かれた政府・自治体」のあり方に関心を抱きながら研究・ビジネスを続けている7人をお招きし、お話をうかがいました。多様なセクターを縦横に行き来する『越境者』でもある方々が何に課題意識を持ち、今後どのように進んでいこうとしているのか−。今後のオープンガバメント、オープンデータムーブメントを進めていく際にフックとなる視点を提供いただきました。

《文中敬称略》

原点は「データに基づき、みんなで話す」こと
小林 巌生さん 小林 巌生さん(以下、小林)

きょうは、政府、大学、非営利団体、ビジネスとさまざまな立場で電子政府、オープンガバメント、オープンデータというキーワードを持っているみなさんに集まっていただきました。今後、日本が開かれた政府、データをもとにした政策立案や経済の活性化を可能にしていくために、どうしたらいいのか、現状を共有し今後を語り合えたらと思っています。

まず、みなさんがいま、オープンガバメントについて「きょう、これについて話してみたい」というトピックがあれば教えてください。

村上 文洋さん 村上 文洋さん(以下、村上)

今直面している課題認識ですが…。オープンガバメントに関心を持ち、進めていきたいと研究を続けてきたけれども、途中で息切れしそうになってしまって(苦笑)。オープンデータの動きを加速すれば、元気になるかなと、そちらに振れながらこの3年間やってきました。オープンデータも活用はこれからですし、今後自分たちがどんな手を打てばいいのか、きょうはヒントを得ることができたらと思っています。

信朝 裕行さん 信朝 裕行さん(以下、信朝)

問題意識は村上さんと同じですね。オープンガバメントもオープンデータも利活用の部分、実際に国民や市民が感じられる「価値」をどのように作っていけばいいのか、そこにヒントがほしいです。

関 治之さん 関 治之さん(以下、関)

「Code for Japan」という非営利団体で活動をしてきました。今は、オープンデータを活用し事業をどのように創造していくのかという点に関心があります。特に、地域に根付いたプレイヤーが参加できることがポイントかなと感じています。

平本 健二さん 平本 健二さん(以下、平本)

数年間やってきて、(プレイヤーが)みんな顔なじみになってしまったと感じています。オープンガバメント・オープンデータに関心を持つコミュニティをどのように大きく、広げていくのか、コミュニティを多様化するためにはどうしたらいいのかということを、課題として認識しています。

奥村 裕一さん 奥村 裕一さん(以下、奥村)

私は、オープンガバメントに関心を持って研究を始めましたが、ここ数年、国や自治体の関心は、オープンガバメントよりもオープンデータにフォーカスしてきましたね。ただ、その2つには差異があります。

オープンガバメントは「市民をどう公共サービスに巻き込んでいくのか」というところに力点が置かれています。一方、オープンデータは市民が「行政の仕事は地域の課題解決につながっているのか?」ということをチェックする道具。双方が混在してしまっているようにみえるので、その整理ができたらと思います。

庄司 昌彦さん 庄司 昌彦さん(以下、庄司)

「開かれた政府を担うだけの実力が、市民の側についていないかもしれない」という懸念があります。ですから「担い手の力をどのようにつけていくのか?」ということに課題を感じています。また、オープンナレッジのような、国際的なネットワークに日本の存在感がないことに危機感を持っています。

奥村

それはこの分野に限りませんね。(笑)

小林

実際、民間側からするとできることはあるのですが、行政側とのニーズとマッチングがなされていない。まだまだ制度の問題がかなり大きい。関さんのいうように、オープンガバメントが進んで制度が整備されることと、持続可能なビジネスが生み出される状況につなげていくことが必要です。

平本

気になるのは官公庁、いわゆる「霞ヶ関」の参加がとても少ないことがとても問題のように感じます。市民、地方自治体は関心が以前よりも高まり、いろいろな場に出てきているようにみえますが、霞ヶ関は…。

奥村

市民だって一部。盛り上がっておらんよ…。あ、こりゃ、記事にならんな…。
===一同爆笑===

村上

今、会社のコラムを書いていて、こんな図を書いたのですが。(写真1)
今の平本さんの話に関連するけれど、行政の担当者がふだんの仕事の中で、自分たちのデータを使うという状況がないのでは?「出したら誰が使ってくれるの?」という話ばかりで、自分たちが有効活用するという視点が少ない。

アメリカではサンタクルーズ市が犯罪予測システムつくったり、ニューヨーク市が火災発生率を予測したり、データを活用して仕事をしている。「何かあってから対応」というのでなく、行政自体がデータを使って事前予測をしてから政策を展開しています。

地域の議論しながらビジネスの議論もするというより、切り分けて議論しないと。

村上さん・図
奥村

地域のなかで、シビックテック的な人と、一般市民、ここには書いていないが、そこをむしろ巻き込んでいかなければなりません。普通の市民ね。

村上

シビックテックって、本来はIT関係者以外の市民もターゲットにしていますよね?

はい、そうですね。

奥村

ドライブとしてのシビックテックは大切ですが、最終的に社会・地域を変えるには市民も関心もってもらわないと。例えばハッカソンは無理ですが、技術者以外の人達もアイデアソンぐらいに出てこないと、地域にとって本当にいい提案は出てこないし、変わってこないでしょう。つまり、ユーザーの参加ですね。

村上

市民電子会議室 や地域SNSなど、昔はITをあまり知らなくても参加できる仕組みがありました。それよりシビックテックの方が参加のハードルが高いですね。

庄司

昔の地域SNSは、日常の話題をまったり発信する中に、災害や地域課題のことなどたまに硬い話題が入ってくるという立て付けの2階建て立て付けの議論をやっていましたね。それに比べると、今のオープンガバメントは2階の部分の議論が多く、敷居が高いかもしれません。

村上

昭和の高度成長期はどんどん税金、行政職員が増えて、公共的な仕事は自治体お任せの時代が続いてきた。ただ、これからは職員も減少して、財政も緊縮されていく。住民自身が解決できることは住民で担っていかないと、自治体はもたないのではと思っています。そうした社会背景の中で、シビックテックは自治意識をもつきっかけになるのではないかと思いました。いわゆる「自分ごと」として考えていくきっかけです。

CFJとしては、全ての住民というよりも、NPOを介して地域課題とつながっていくという戦略で効率よくやっていこうとしています。

奥村

シビックテックの役割とNPOの役割と分けていくことが必要。両方大事。その外縁部に一般市民がいるというイメージです。また、先ほど村上さんが話していましたが、自治体職員自身が、自分の仕事の改善にデータ解析・シミュレーションなどがつながる、そういう意識が不足しているかもしれません。

平本

表に出ていませんが、行政でも気象、税務、医療データなどは使っている部署は使っています。ぼくたちも政策をつくるために、他の省庁のデータを山のようにひっぱってきて、マッシュアップしています。ただ、その進捗は遅く、僕たち自身も苦しんでいます。

実はギブアンドテイクで、使えるデータを出せば他の部門の仕事にも役立つし、自分達も使えます。そういう関係がつくれればいいのですが、そのプロモーションができてない。

奥村

それに関連していうと、政策を作っている部署は、どういうデータを使って政策を作っているのかという根拠と政策ロジックを見せるべきだと思いますね。そうすれば市民の関心も高まり、議論もできるようになりそうです。

ぼくは、それを「データ・政策ロジック・実現計画」がつらなった「政策見える化カード」として、市民に分かりやすい形で共有したい。

庄司

奥村さんが今「見える」と言いましたが、2009年にアメリカ・オバマ政権が「オープンガバメント」を打ち出した時に、日本が受け取ったメッセージは「SNSを使うこと」でした。民主党政権ができたときに『総理がつぶやいた』『自治体アカウントつくった』『生中継された』など、ソーシャルメディア発信が注目されました。

それが、だんだん飽きられてきてしまいました。ある意味、根付いて淡々とやられている部分もありますが、ここのところ、あまり進化がありません。「見せる」「見える」部分をもう少し考え直すことが必要かもしれない。

小林

確かに「トランスペアレンシー(透明性)」と言っていましたが、いつの間にかそれがオープンデータに置き換わってしまい「データを出せばよい」という感じになってしまいましたね。

庄司

コミュニケーションの話がなくなってしまいました。

平本

(当時は)SNSというより「対話」という言葉がキーワードでしたね。SNSでも、アイデアボックスでも、熟議でも対話していました。新しい公共という名前で、今までの審議会メンバーとは違った若手を入れ、しかも机をはさまない議論の形態で場を活性化するなど、対話の形態を探っていました。

村上

オープンデータは対話っぽくないですね。乾いた感じがしますね。

奥村

オープンガバメントとなると、対話が入ってくる。

小林

本当だったら「データに基づいてみんなで話そう」ということが大切なのだけれど、そこができていないですね。

庄司

ある意味ソーシャルメディア発信は、一旦行くところまでいったので、ブレーキかかったのはいいのかもしれません。そこでやっぱり「データに基づいたやり方が必要だよね」と気づいたのだと思います。今、次の段階で、「コミュニケーションとデータ」両方合わせてどうするか、というところですね。

奥村

Back to the Basic,原点に戻っているのかもしれません。

現場部局と連携し、ビジネス創造探る
奥村

ビジネスについてちょっと触れたい。単にアプリをつくるというのではだめ。実際の公共サービスを考えると「人をどう使うか」「設備をどう使うか」それが寄り集まって1つの公共サービスを提供している。そうした全体をつなぐ公共サービス、大きなシステムを考えるとか、そういうことをビジネス的な発想で考えていく。シビックテック中心になってそういう広がりを持った方がよいという気がして…。関さんに聞きたいのですが。

まさに、そういうことを目指してやっていきたいのですが…。情報政策課・オープンデータから入ると、そちらに行かないのだなあと分かったところですね。結局そこからでは事業を創れないのだなと思いました。もっと現場や課題を持った課がやらないと持続可能にはならない。

そうなると、話し方からしても「オープンデータから入る」のではなく、リノベーションスクールなどの取り組みの方が、よっぽどオープンガバメント的だなと思い、そうした具体的な事業から学ばないと。と感じています。

最近ぼくたちが意識しているのは「行政の気持ちを理解すること」。ということで、コーポレートフェローシップのように、人材が交流しないとなかなか理解しあえない。

企業人材に行政の課題をつなげて直接中で動くとかなり見えてくることがあります。そして「こういう課にこういう困りごとがあるのでこれにオープンデータ使えるんじゃないか」と提案できるようになります。

データから考えていてもいつまでたっても事業は創りにくい。もっと現場に入って対話する。最近はアクションをそっちに振っています。

関さん
奥村

他方でね、情報政策課の人達はこれから何をやっていくんだろうか?
===一同爆笑===

平本

ぼく、情報政策にやっているのですけれども…失業するかもしれないでしょうか?(笑)今やるべきことは2つに分かれていて、1つは今まで通りの、ガバナンス系のところ、庁内システム整備は絶対残っていきますね。

それに加えて、世界は「デジタルガバメント」にむかっていて、そこはまさにオープンデータを使いながら新しいニーズを掘り起こして、新しい行政がバリューを創らなければならない。

現場には課題があるけれど、情報技術のアイデアはありません。そういう庁内に対して、ITの知恵を生かすための「営業マンとしての情報政策課」の位置は非常に重要になってくる。

そういう位置づけには、ぼくたちとしても共感します。ぼくたちも入口は情報政策課の人達と一緒にいきます。いきなり現場に行っても「あなたなにしにきたの?」となってしまいますから。

平本

一緒に組んで営業するといいと思います。ただ、いまだに、ぼく怒られますね。『IT村のくせして、なんで君たち来たんだ』と。『業務の話は俺たちの所管だ』という思いがあるのでしょう。

奥村

そこはどうしたらいいのだろうか。

平本

「こんないいこと、楽になることもありますよ」と、メリットを伝えるしかありません。聞いてもらうことが第一歩です。

ぼくらの送ったフェローが、役所内で職員アイデアソンをやるなど、つながりをつくる。そこから解きほぐしています。

奥村

フェローの役割というのは重要だね。うまく使ってくれる自治体が増えるといい。

自治体側は手を挙げるケースが多いのですが、企業側で人材を送ってくれるケースはまだまだ少ないのが現状です。

奥村

企業に余裕がないのでしょうか?

小林

企業の人件費はどこが?

人件費は企業の研修費・人材育成予算から出してもらっています。「社員を成長させて返します」ということなんです。一方、Code for Americaはまったくちがいます。

企業が負担して人材を自治体に送るのではなく、企業をやめた人材が自治体で働く方式です。ですから自治体がお金を払います。それもやりたいのですが、日本は人材流動性が低いので「1年間だけ自治体に働いて」ということが難しいのですね。

小林

日本は「コネをつくろう」という思惑もあるかもしれません。

奥村

なんか企業側に魂胆がありそうにみえるんだな、日本は。アメリカは個で動くマーケットになっていますからね。

小林

お金の流れも違います。

村山

コーポレートフェローシップは、ともに派遣される企業同士のつながりも大きい。

神戸市はYahoo!Japanと地元NPO法人から2人が行っています。

奥村

フェローシップ制度が広がると、自治体側の意識も変わっていくきっかけになりますね。

村上

もう1つ考えられるやり方がありますね。例えば、オープンデータを分析し、新しい価値を見出す」という部分を切り分けて外に出す。そしてシンクタンクがそこを受ける。

データを出してもらったら、無料で解析して見える化して返す。ただでやるかわりに情報を集めてビジネスでやる。アメリカのオープン・ラボ、ソクラタがやっているようなプラットフォーム型の仕組みです。その方式ができないかなと思っています。

小林

ゼンリンデータコムと電通がやっている防災系のプロジェクトもそうですね。

村上

カーリルもそう、図書館データ集めてコンサルしていますし。

奥村

その場合のデータというのは、オープンなのか秘密なのか?

村上

どちらでもいいかなと思いますガ、最後加工してだすのはオープン。財務データなど、出しても問題ないデータが多いです。そして、自治体ごとに出されたらバラバラになるが、どこか2,3社がうけてやればいくつかのフォーマットにそろって使いやすくなります。自治体ごとに1700の形式で出されたらたまりません。

奥村

そういう意味では、データのインターオペラビリティ(相互運用性)はどうなっているの?

平本

やってますよ!今、一生懸命、共通語彙基盤とかフォーマット、セットでやってますよ!

庄司

カーリルがやったのは、あえて1つのフォーマットにおさめることはしないで、数パターンで収めていること。いくつかのパターンで対応してしまうというアプローチですね。

奥村

複数でもよいかもしれないが、つながるということが大切なので、基盤としてのインターオペラビリティ(相互運用性)どう確保するかという発想で考えると「それでいいのか?」と思うところもあります。

小林

デファクト主義で、いくつかの企業が実装してきたものが、スタンダードになっていくという考え方ですからね。よい手法を考えた企業が市場に支持されてシェアを拡大していき、スタンダードになっていく。まだまだオープンデータ始まったばかりで民間企業で主導権持っているところはないですが。

奥村

CFJで作ったら?

うーむ。みんな従ってくれたら創れますが。(笑)

庄司

データ形式にしろ、仕事のやり方にしろ、人の流動性があると混じっていく中でデファクトが見えてくるとおもうのだけれど、固定化して動きがない社会だと、結構デファクトスタンダードが生まれにくいのではないでしょうか。日本なりの上手いやり方を見つけていかなければならないですね。

オープンガバメント推進に欠かせぬ「データ標準化」
村上

100万人ほどユーザーがいるZaimという家計簿アプリがあります。そこで全国の住民向け助成金・補助金情報を集約して、出すようになりました。最初、政令指定都市しかできなかったのですが、現在は1700自治体ほぼ網羅している。ただ、データ収集・整形に非常に負担がかかってしまうそうです。なにしろ、1700自治体、バラバラの状態から作り上げているからです。

そうした状況が社会に知れ渡り「これを標準とする」というデータ形式を国がリーダーシップをとって決め、広がるというパターンとらないと、使う人が増えません。

奥村

それ、今の話広めようよ!

平本

アクションプランの延長線上でできるとおもっている。それを普及させるには、マスターコードを国が早急にすべきですね。この間も、北海道や関東という「地方」に「定義」がないこと知り驚きました。また、一般には8区分だが、役所によって区分が違っています。

ある程度、基本データを普及するのはとても重要です。そこが今年やるべき「国のテーマ」だと思います。

村上

内閣官房が自治体向けオープンデータの手引きを出しました。の。参考資料として「オープンにしてもよいデータリスト」がある。まずそれを「こういう形で出すといいよ」と、標準化してあげると自治体は嬉しいと思う。

信朝

一応標準化しています。ただ、自治体の方はやはり最初に「価値がみえない」と言われてしまうのですね…。

村上

さきほどのZaimなどと組み合わせて使えばよいのでは。

信朝

社会課題に直接対応していない「情報システム」などに、予算がなかなかつかないという構造があります。この壁を壊していく為には、オープンガバメントそのもので対話を増やして、わかりやすく共感してもらえる形で「こうした仕組みをいれたら解決につながりましたよ」という事例を作らないと動かない。オープンデータ先進地といわれる都市にしても「行政課題はどう解決したのですか?」と問い合わせると、結構「え…」と口ごもってしまう状況があります。

行政課題を解決するということに対して、いかにオープンガバメントやオープンデータが役に立つかをみせて、伝えることが大事だと思います。

奥村

そういう意味では私も矛盾したことを言っているかもしれません。まず「課題から出発しろ」と言っている。他方で、ごく基礎的インフラ・行政活動は、これは税金のそもそも賄うべきだと思っています。

データのフォーマット統一などは自治体を超え、社会の成り立ちの基本だという意識をどう植え付けるか。それは総務省がやらないといけない。方針を出し、国が「ガツン」とやったらいい。これは、地方自治というよりも、国全体の流動性をどう高めるかということです。

信朝

6月30日に閣議で決定した「新たなオープンデータの展開に向けて」という定義で明記したのですが、やはり行政機関は重点課題に対してオープンガバメントを活用するということをビルドイン化してください、と決めました。

それは課題の発見や解決について、オープンガバメントやデータの考え・プロセスというのは非常に役に立つので、「まずはビルドインしてくれ」とお願いして、閣議でも通っているのですが、でも、誰も知らない。理解されていません。

小林

総務省が自治体に対して「この仕組みを作ってここにデータを入れてくれ」というのを何回かやったのですが、中々成就しません。今の構造の中で、トップダウンでやってもうまくいかないということではないかなと思います。

信朝

言いっ放しでフォローがないかもしれません。それを「Code for Japanさん、NPOさんお願いします」というのはあるのですが、フォローアップがない。

庄司

だから乗ってくれないということはあります。「やってもどうせ無駄だろう」という空気はあるかもしれない。

奥村

アメリカの行政の課題はパフォーマンスを上げないといけない、今は四半期ごとにパフォーマンス報告を見るという体制になっている。一方、監視する機能が日本は弱いです。

信朝

地方創生とかそういう文脈で「RESAS」というソフトがある。どう使っていただいているか、これで行政課題をどう解決していくか。

そこをやっぱり、ユースケースといっていいのかわからないが…。

奥村

それこそ、見える化なのですが、見えるようにすることでプレッシャーをかけていく仕組みを設けた方が良いかもしれない。

庄司

オープンガバメントに関しては、まだここに行けば分かるという集約点がありません。散発的には話題になるのですが、それこそ、ユースケースのようなものとか、参考すべき資料であるとかが、きちんとまとまっていることはないだろうし、日々のあちこちでの動きが可視化されれば焦る人は出てくると思うのですけれども、全然今はないと思います。

あるテーマに取り組む人がまだ少ない場合「トップランナー」的に見えてしまう時期があるのですが、そういう時はブログを立てて何でもかんでも情報を集約します。そうすると、そこを見てくれる人が集まって、仲間になってくれます。オープンガバメントという括りでそろそろやっても良いかもしれません。

平本

あと、オープンガバメントの文脈でいうと、ぼくたちが今、チャンスなのは現場の意見を吸い上げやすくなったこと。でも、さっきから失敗した事例とかいろいろあるのは、今回も地方自治体の意見を聞くと皆、「現場の意見を聞いていないだろう、現場のフォローを全くしていないだろう」となります。

でも僕たちはネットでソーシャルメディアだろうが、対話型のサイトだろうが、吸い上げられる仕組みっていうのはすごく出てきている。しかし、それを全然活用していない状況です。これは裏返せば、そこは少しチャンスではあります、どうブレイクスルーするのかなということではなかなか悩ましい。

奥村さん(左)と平本さん(右)
奥村

行政の強みでいうと、現場がきっちりある。現場の意見を行政自身が吸い上げるという機能を持てば、国民との関係は十分で、有効な政策を打てるようになる。それがせっかくの現場のデータや情報も、死んでいる。

※青木

私は現場で10年以上自治体の仕事をさせていただいています。オープンガバメント、オープンデータに関して、2014年までは「何から始めたらよいか分からない」という意見が多いという印象でした。「出来るところから始めればいいですよ」ということを説明し、皆様、初歩的な所からやっていました。

2015年になってからご相談いただくなかで「先進的にやっている都市の”結果”が見えない、費用対効果・リターンが分からないので、財務に掛け合ってもお金が通らない」という反応があります。こちらが現実の話です。

費用対効果と「市民に対してサービスに繋がりますよ」という事を数値化して見える化できれば、予算も通ります。

あともうひとつの課題は、「庁内の各部署の協力を得る」ということの難しさですね。協力が得られず、1部署だけ頑張ってもデータは集まらず、何もできない。

ただやっと、企画課と情報室と広報課が前よりも若干協力するようになってきたように思います。「どっちかでやればいい」という押しつけ合いになっていたのが、「どっちかが受け取ってやろう」という方向になってきたようです。

庄司

いまの状況に関連してお話すると「オープンデータ」という言葉にとらわれないことが必要だと思います。その言葉に縛られると、ここ2、3年の事例しかない。ニューパブリックマネジメントや電子制御でも良いのですが、似たようなことは前から試みられてきました。「データに基づいて、こういう風にしましょう、効率化がこれだけ進みましたよ」という取り組みは探せば多くあります。

ただそれらを、ぼくたちがちゃんとつなげてられていない。「かつての政策と議論」と今を、それをちゃんとつなげていないのです。「オープンガバメントをこれだけやると、費用対効果があるの?」という考え方をすることで、「やらない口実を与えているかもしれない」と思います。

小林

僕らは、横浜市金沢区でオープンデータを使った子育て支援のアプリを創っていますけれども、ここはそこそこうまくいっているなと思っています。

ここでは子育て支援予算を使って事業を回しています。「子育て世帯を支援するアプリを作りましょう」ということですね。元々「課題解決」から入っていて、そこにオープンデータ的な概念・価値観等を入れて提案しています。そうすると比較的、彼らも受け入れやすいですね。

彼らも仕事として、子育て支援アプリを作らないといけないのが明確ですから。だからスタートは「内側」からですね、オープンガバメント的、オープンデータ的に僕らが構築したことがどんな価値があるのか、わかってもらうことがハードルがあるかもしれない。

今までは1つのアプリケーションに対して、1つのデータで作っていました。それで閉じてしまって、データを整備しても、その後他の用途に使われないわけですね。さっきも相互運用性の話になりましたが、結局やっぱり大きなインフラ整備としてデータ整備をして、それをみんなで適宜使うようにすれば効率的だし、それが良いだろうということなのですが、中々よく分かってもらえません。

調達の透明性高めた浪江町の「オープンソース縛り」

僕らはよくオープンソース活用と言って、自治体でオープンソースにすることやデータを標準化することは、市単体でいえばコストとしては高いのですが、国全体で見れば相当コストは安くなります。

でも、そういった事は、自治体に説明しても市の調達範囲の中で、というのは難しくて、やっぱり安く入札する方がとってしまう。オープンソースにすることの価値はまったく理解が伝わっていません。

奥村

国でオープンソース法でもつくって、自治体にやってもらう仕組みを義務付けたらいいのだな。

EUはそうした法律を実施しています。

青木

自治体としては「国に強制してほしい」という意見がある。強制してくれれば行うのですが、強制してくれなくて任意なので、本当にやらないといけないかということで協力者が得られないということで悩んでいる。

コミュニティがないという話につながると思うのですが、海外だとオープンソースコミュニティとオープンデータコミュニティが近い。

だから、データだけじゃなくて、活用部分はオープンソースソフトウェアがあります。

だから「データを作ったらこのソフトで利活用できる」というのがあります。この部分が日本ではないです。活用部分はデータがあるから、このデータを作ると対応するソフトウェアがありますから。

庄司

大体オープンソースのアプリが付いてきますからね。

唯一CKANがたくさん使われているくらいではないかと思います。

小林

子育てアプリも内閣府の補正予算でやっていて、子育て支援の事業に対して、自治体の10分の10補助の予算があります。そこを使って子育てアプリの公募かけるところが結構増えている。

仕様はどれもだいたい同じです。完全に無駄です。個別に作っている。最初にやったところが調達して、それがオープンソースになっていれば、それを元につくれば良いのですが、今はそれができない。1700の自治体がバラバラに子育てアプリ調達するので本当に無駄です。

庄司

同様の無駄は以前もありましたよね。

小林

子育てや防災などの色々な行政課題があって、ある分野で国内で日本の市場でいえば、3社くらいがあればいいじゃないか。3社程度なら、価格も競争があり、プロダクトとしても質も上がってくる。今だと色々な所で気まぐれで発注していて、それだと結局技術やノウハウも集積・シェアされない。それこそ2、3社くらいで分野ごとに集中して開発してもらい、データを標準化し、オープンソースとして公開してもらうことが必要だと思っています。

奥村

その場合、地方に小さいベンダーはどうなるのでしょうか、生き残れるのでしょうか。

生き残れるのではないかと。

村上

生き残れると思います。むしろ地方にいて離れていてもネットでデータもとれますから。

信朝

その話題に関連してなのですが、地方の調達の仕組みの見直しが必要かなと感じる状況がありますね。単年度のコストでしか見ていないという点です。そうすると、あり得ない安い価格で請け負う提案をする企業に決まってしまう。そしてその時受注した企業が、次年度急に契約額をアップしてくる。最初から見えている話ですけれど、地方議会ではその年度の提案と価格しか見て判断することができない。

そうすると、地方ベンダーやシステムプロバイダーは、大手ベンダーと違って体力がないのでやっていけないです。「今年度1円入札/次年度2000万円」という企業と太刀打ちできません。だから、行政の課題に対して予算を使う時に「2ー3年単位での累計」で見ていくように仕組みやマインドを変えないといけない時期だと思います。

信朝さん
奥村

今の話でいうと、ライフサイクルコストで判断して比較して入札するという仕組みは日本では入っていないのですか?

平本

国の評価制度などで、ライフサイクルコストを書く欄はあるのですが、それが保証されていないです。

書いて提出しているけれども「翌年にやっぱり機能増えたので、これだけの額になりました」ということがあります。それで全体で調達の議論をしていたのですが、今までは前後切った調達をしていました。運用を別会社にしないといけない。ライフサイクルコストで測っていても、縛りがかからないわけです。そういうのも含めて見直さないといけない。

村上

関さんたちが関わっていた福島県浪江町の調達の仕方がユニークでしたね。あのような動きとかは参考になると思うのですけれども。

はい、僕らは仕様書策定・発注段階からコンサルティング的に動いていました。「作ったものをオープンソースにします」「パッケージを使っていいけれどそれを明示してください」「ベンダーロックがかからないものにしてください」と強調していました。

また、「アジャイル開発を取り入れ、要件は変わる可能性がありますので協議しながらやっていきましょう」「プレゼンテーション、採点結果も全部公開」など、かなり透明性が高いプロセスをつくろうと努めました。それを他の自治体に展開していきたいです。

そのパッケージだけコンサルタントするとかいうこともできるのかなと思います。実際、かなり調達コストが下がりました。やっぱり技術に詳しい人間が調達側にいると、提案のボロが出てきます。提案では素晴らしいこと・くわしいことを書いているのですが、よく聞いてみると、「音声認識システムが入っていますが、これはライセンス料かかりますか?」という質問をすると「1台当たりライセンス料がかかります」「見積もりに入っていないじゃないですか」と指摘していました。ほかにも「オープンソースでお願いします」と仕様に入っているのにプレゼンでは全く触れずに、そういう仕組みになっていないとか…。

それはオープンソースにかなり詳しい人間がいたから突っ込んで評価できますけれども、そこまで普通の自治体の中で出来るかというと出来ないですから。そこがフェローの一つの成果だったのじゃないかな、と。

村上

そもそも調達仕様書を書く段階で詳しくないと書けないですよね。

平本

調達だけではなく、コミュニティや参加者を増やすための方法、地域の参加者をどう増やすかも考えないといけないですよね。地域の住民をどうするかという点に話題を移していきましょうか。

まちなかの対話の場が、参加する「人」を育てる
庄司

2015年の2月にインドネシアに行って、オープンガバメント関係のNGOの人たちと話をして来ましたが、国際的なNGOや財団が支援して人材育成をしています。オープンデータの話も一部そこに入っていて、そこでやっている人材育成は「データをいかに加工してアプリを作るか」という話だけではなくて「いかにプロジェクトマネジメントをするか」「資金調達・予算管理をするか」など、1つのプロジェクトを動かすための人材育成をしています。

それが地域の開発に必要だからということで、それを先進国が途上国支援をするためにしていますけれども、それってオープンガバメントを進めていく上で我々にも必要で、日本の各地の地域で何かをやりたいという人がいてもそのような方向で人材を育成していかないと育たないです。むしろインドネシアで優秀な人が育っても、日本だと枠組みがないのでうらやましいなと思いました。

庄司さん(右)
村上

どういう人材を育てればよいかと思いますか?

庄司

僕の持論が入るのですが、震災復興の時にたくさんプロジェクトやチームが立ち上がりましたが、チームの規模は数人から十数人とかぐらいで、何十万円か、せいぜい何百万円あれば成し遂げられるぞ、という規模のプロジェクトがたくさん立ち上がりましたよね。

ああいうものが、いかに育ちやすい環境かということがこれからの地域運営にとっての鍵だと思います。そこをやっていける人材を育てること、環境を作っていくことが重要だと思います。

村上

よく自分事と言いますが、地方創生と言われていても人ごとじゃないですか。でも、観光客を増やそうとか英語を学ぼうとか、うちの前に花を飾ろうとか、自分の理解できる作業単位にまで落とすと、やります。そういう細かいところまでブレイクダウンしていくのは誰がやるのかな、と。

奥村

若干視点が違う所から話しますが、今の庄司さんの話はサービスを「作る人」の話です。自治体も同じように「市民も作りましょう」という話です。他方でそうではない市民もいる。しかし、意識は持っている。「自分の子育て支援にこういうサービスがほしい」とか…。いわば「ユーザーとしての市民」のことも同時に考える必要がある。

奥村さん

そういうニーズを実現するために、庄司さんが言及していたような「作る側の市民」がいる。
これはやっぱり市にやってもらおうと思って、従来通り、市がやりますという分野と市と市民の間で協働してサービスを提供しますという分野があってもいい。その前のそもそもどういうサービスが本当は市民が望んでいるんだろうかというニーズ・声を具体的にどうやって吸い上げるのか?そこの議論が抜けているのではないか?

何とかユーザーとしての市民の声をどう反映したらいいのかな、と考えます。そういうものを実現するための仕組みとして、細かい作業単位に砕く人がいて、そういう人がマネジメントして作られていくという構図。それと、やっぱり市にやってもらおう、効率は悪いけれども、やっぱり市にやってもらうという分野と、あるいは市と市民の間で共同してサービスを提供していこうというパターンがあっても良いかもしれない。

そもそも、市民がどういうサービスを求めているかな、と思います。しかも別途どうやって吸い上げるのか、そこも議論が抜けているな、と思っています。

村上

サービスを考える為には、その地域にまず関心を持ってもらわないといけないかな、と思います。まず、関心をどう持ってもらえばいいかな、と思います。

奥村

関心はみんな持っています。ただ、時間がなくて不満だけ言っているようにみえる。床屋とか美容院にいけばみんなわーわーいっているんだよ。
===一同爆笑===

村上

ではそこにペッパーくんを置いて、そこで声を吸い上げればよいかもしれません。(笑)

でも、楽しいというのが大事で、楽しい場に集めていくということが必要です。

村上

「コスギソン」はどうだったの?

武蔵小杉駅近くにコミュニティカフェがあり、そこに最先端技術の色々なガジェットを持ってきて、地元の人達を呼んでハッカソンをやりました。集まった人も「やっぱりコスギが好きだ」という人ばかりでした。女性も多くて、親子連れも参加していて、やっぱりカフェが表に見えて、気持ち良い場所です。そこでビラも配りました。

やっぱり普段のハッカソンに来る層とは人が違いました。テーマは「コミュニティカフェをハックして、そこから街が盛り上がるコミュニケーションツールをつくろう」という内容でした。

地域のNPOなどが参加するし、僕らがアサインした技術力が凄いメンターも集めるし、不動産会社の人もマンションの住人たちに声をかけました。そこで生まれたつながりを継続していくような仕掛けを作るなどの形で、ああいうしかけはすごく良かったです。皆楽しんでいました。

庄司

オープンガバメントを考える時に、色々なことをやったり話したりする場所は会議室じゃだめですね!僕はIT全く関係なく、デンマークの民主主義の社会を調べていた時に、皆がよく行くスーパーマーケットのホットドッグの屋台に、場所を設置して市民の声を聞いていました多くの人に参加してもらって、意見を聞くことを考えるならば「やっぱり来てください」ではなく、出ていくことが必要です。話しかけることが必要です。

奥村

運営は市役所がやっているの?

庄司

自治会、自治エリア内の議会の様な組織が行っています。

奥村

市民から見ると「出かけていく」という行為はまだ敷居が高い。むしろ、行政から出かけていかないといけない。

村上

役所って市民が来るところだと思われがちですが、市民にとって役所は用がなければ年に数回くらいしか行かないところ。

ふだんはスーパーや駅、ウェブでいうとYahoo!や楽天を見ている方が多い。だからこそ、民間サービスの中に行政の情報やサービスを入れていくことが大切だと思います。オンライン申請サイトを独自に作るのではなくて、Yahoo!などのポータルの一部で申請が出来るように組み込むとか。

声を聴くのも、民間サービスにどんどん役所が行かなければいけない。

庄司

先程のSNSの話のように、2階建てにして、普段の「くだらない話」をする場所を作って、そこにそうではない話を混ぜる。ヤフーは災害情報が公共機関と連携して出している。それと同じように、皆が見る場所に出していく。

村上

「Zaim」がいいのは、民間サービスに行政の情報を載せていくところ。そうした姿勢は良いかもしれない。

平本

僕は横浜市金沢区のアイデアソンに出たことがあるんです。一般市民として。その会場は「市民祭り」のすぐ横の会議室。そこでいきなりアイデアソンが始まったのはなかなか良かったなと思います。

市民祭に来ている人って、時間の余裕がある人が多いので「なんだなんだ?せっかくだから寄っていこうか」ということで、そのまま会議室に入ってくる人が多かった。

そういう人達に「こういうことをやります、こういう課題ありますよね」というと、「何か面白そうだから来てみたよ」なんて人が入って、話始めていました。

小林

横浜は、僕らさんざん言い尽くしているのですが、開港150周年だった2009年に大規模にダイアログを展開しました。

メインイベントとして750人規模のワールドカフェを行ったのですが、その手前にも最初のキックオフで250人規模のワールドカフェを行って、そこに参加していた地域コミュニティのリーダークラスの人たちが地元に帰り、今度はコーディーネーター的に動いて小さなワークショップをきめ細かく実施してもらい、最後にまた750人規模で行うという1年を過ごしました。そこでは「横浜の次の150年のブランドは何だろう」ということをみんなで考えたのです。僕が金沢区でしれっと、ワールドカフェやオープンデータまわりの対話を組み立てているのは、まさに2009年の体験があります。

村上

それって、横でのつながりは今でもありますか?

小林

もちろん。(金沢区でオープンデータ事業を主導している職員の)石塚さんとぼくたちもそのときのつながりですし、結構アクティブになっている方の割合は多いですね。

奥村

750人の方が集まる機会はあるの?

小林

Facebookでは緩く繋がっています。コミュニティがしっかりあるわけではないのですが、あちこちでやっています。比較的、横浜市は市役所の職員の方にも、その様な対話の重要性を分かっている方が結構います。

奥村

デジタル社会ですので、そういった実務社会で話が集まっているのをいかに見せていくのか。そういったハイブリッドがものすごく大事だと考える。

現場の声をITで分析、次の一手を
村上

ツイッターのデータの分析を岡山県でやっていますが、あれはどうですか?なんだか、参加すると言っても抵抗があるので、お祭りの広場に集めるのは必要なのだけれども、ツイッターで日常のつぶやきがありますが、ああいった中に市民のニーズがあるのかな、と思います。

庄司

ネタを拾うには良いと思いますが、議論が出来ない。量で測るのは危険です。「こういう視点がある」というものを拾うにはちょうど良いと思う。ですが「こんなにたくさんある」という量を数えると、現実社会では「そうでもなかった」ということがある。

村上

ネタの拾い方としてもどの様に拾えばよいものでしょうか。マイニングすればよいのでしょうか。

信朝

データは時系列で全部見ていっても分からないです。「変化」に着目する方が良い気がします。大体、大騒ぎになる時はピーク値です。マイニングする時は、何を知りたいのか言葉を明確にして、それを時系列で見ているとよく分かります。

ただ、単発でやるとゴミしかわからないし、クレンジングするのにすごく時間がかかるので、それでみんな嫌になる。さらに、出てきた結論が「当たり前」に見えてしまって、それが嫌になる。「知っています、そうだよね」という内容です。

ただ、ある何らかの重要な発表がある前、例えば県知事などが発言する前に「後と前でどう変わったのか」を分析できればそれは「価値がある」ということは言えるかもしれません。分量と質が把握できれば、ですが。ただ、まだツールとして未熟な部分も多いので、それを有効活用できるかというと難しいかもしれません。

村上

観光のブランディングと県民ニーズ把握調査を実施した県がありました。

信朝

ある県で、英語でマイニングかけたことがありました。日本人よりもインバウンドの観光客の方々が対象です。でも結局出てくるのは「美しい海」と「砂浜」しかないですよ。そしてそれは「当たり前」ってなります。

そこに「地元の人との語り合い」という特徴ある言葉が少しあると「これ誰が関わっているのだろう?」って調べ「こういう人達なのか」「ここに価値を感じているのか」と掘っていく。そういう作業は面白いですね。その結果、旅慣れている人達は「こういう所が好きなのか」と見えてくる。

村上

むしろクチコミサイトの様な使い方ですね。

信朝

だから、そこまで分析だとか、データの出方に対してある程度理解している人が使うと、とても良いのではないかと思います。

奥村

民間企業でマーケティング的にそういった情報をどういう風に使っていますかね?

信朝

民間企業では、定量的分析・定性的分析とを必ず分けます。

定量的分析というのは、これまで全部アンケートという静的なやり方でやっていたのを、今はソーシャルリスニングなどに切り替えてやっています。

後は「ビッグデータ解析」という売り上げ情報とつなげて何が重要だったのか見ていくものです。これを使って何かできないか、考えています。

質的な情報を見る時に、まさにソーシャルリスニングの中の「どういう言葉をどんな人達が発言しているのか」という所までたどり「自分たちがこの人達に訴えかけたいことであれば、世の中で云われている言葉ではなくて、どんな言葉を使えばいいのか」という提案を考えることができる。

例えば、お金を持って旅行をしようとしている人たちに話しかけたいのであれば「人との出会いを充実させる施策を打ち、発信していきましょう」となど、そのような分析・提案ができます。

平本

役所の中で僕が震災直後に分析した時に実感しましたが、結構良い分析が掘り出せます。それと傾向も見られる。ただ、普段使っていないツールですから、やっぱり上や周りの人に説明することが大変でしたね。サマライズし過ぎて「今、こういう人がこういうことを求めている」と書いても伝わらない。

そこの伝え方や見せ方のノウハウをセットでやらなければ「ソーシャルから拾って分析し、特にリアルタイム性を持った政策提案」まで行けるかなというと、今はまだ難しいなという感触です。

例えば中小企業の景況調査をずっとやっていますが「景気が良いと回答している人たちが自由記述でどう書いているか」など、そうした調査もできるのではないかと考えたのですが、

技術的な課題も有りうまく結果が出せなかった。それと、やっぱり皆イメージ出来ないです。「それって、どういうことだろうな?」みたいに考えます。

今のデータ分析ツールは「分析者の為のツール」であり、意思決定をする人達にプレゼンし、理解してもらうためのツールではありません。分析と理解をつなげることができたらもっと広がる手法ではないでしょうか。

庄司

そういう上の人たちが感じる(ソーシャルメディアが)「信用できないな」という感じは「正しい」と思います。震災の後、東北の人たちが「どのようなソーシャルメディアを当時使っているか」という調査をしたことがあります。ツイッターを使う人もいましたが、今でいうとLINE、当時でいえばミクシィを使って身近な人とのやり取りをしている人達もいて、そうした層の発信する情報はツイッターに全然上がってきません。

メールしか使えない/使わない人達がたくさんいて、ソーシャルメディアは多様にある。使う人の層が違うということを分かった上で「ツイッターではこう言っています」ということを言わないと、見誤ることがあります。

村上
村上さん

そういう中間領域として、三菱総研の小宮山宏さんが「アンケートはもうだめだ。かなり誘導がかかっている。コールセンターにかかってくる電話や窓口での会話も録音して、テキストマイニングをする。するとそこに課題やニーズが見えるから、そこを分析すればアンケートは必要ないのではないのか」と言っています。

以前は出来なかったことでも、そのような分析は今の技術だったらできるのではないかなと考えます。現状、そうしたコールセンターのデータを全部テキスト化したものを分析している自治体などはないのではないでしょうか?

平本

結構やっているところはありますよ。ただ、行政だとデータベースでやっていないですからね。

奥村

それをやると個人情報やルールがありますからね。

埼玉市が「市民の声データベース」というのをマイクロソフトとやっていますが、データベースは使っていないです。

平本

札幌市でも有名で、苦情でもなんでも入れるというのをやっていました。

奥村

この議論と一旦繋がりますが、行政は現場の最前線で情報を得ています。その声を吸い上げて、次の政策の改善につなげるという事が非常に有効です。

アメリカでは「OPEN311」という標準化フォーマットがあって、対応ソフトがたくさんあり、電話・メールまで全部ひっくるめて十分市場になっていますよね。千葉市の「ちばれぽ!」でも、コールセンターの情報は記録されていて、それを広げてはいきたいと言っていましたね。

奥村

苦情はもちろん、窓口の職員との会話の中に市民が思っていることが入っているけれども、それを記録して分析しておくとものすごく大事な情報源だと思います。

村上

IBMの(人口知能である)ワトソンを使うと、相手の話している言葉をその場で認識しながら、この人の質問を想像して答えの選択肢をいくつかオペレーターに出してくれる。それによって、職員の対応時間が短くなっていく。

業務が効率化できますよね。

庄司

ニーズがたくさんありそうなマイナンバーのコールセンターに入れるとよいですね。

村上

自動音声認識ならば、相当安くできますよね。

小林

そもそも、アンケート以外に政策に対する意見を出したり、感触を測る方法って一般的に何があるのでしょうね。

平本

パブリックコメントとアンケート、有識者インタビューやヒアリングです。

素朴に何のフィルターがかかっているか分からないですから、僕らがテキストマイニングを導入した理由が何かといえば、最初にアイデアボックスをやる際に「お前ら、どうせ都合が良い意見だけピックアップして使うだろ」って意見が多く寄せられたためです。

だから、我々も(寄せられた意見から)ピックアップを行い、この意見が政策に重要だと出しますが、それと並行して、その意見をテキストマイニングした結果を出します。それで、中立性を担保していこうというのが最初の導入理由です。

FAQなんかも出ていますけれども、都合が悪いのは隠しているとか、そういうのもあるかもしれませんし、そういうものもオープンにしていくのも必要かもしれない。

政策形成に「提案型の市民参加」を
奥村

参加というのは、無意識的と意識的の2つがあります。無意識の参加、これは別に独裁国家でもやるわけです。市民が何を考えているのかを密かに聞く。分析する。それはデータマイニングの世界であるともいえます。

我々が考え、進めていきたいのは「意識的な参加」。市民が関心を持って地域や国を変えていくプロセスに参加して、それが行政に反映される仕組みを設けることです。

この点はちゃんとおさえておかないと、本当の「参加」ではなくなってしまう。政府も「耳がでかい」だけではだめ。僕らは市民側だから、「勝手に聞くな」と言われるかもしれないけれど。

信朝

役人は外に出ないので、感覚的にどの様に外の声を理解したらよいかわからないかもしれません。とても大切なことは、先程奥村さんが指摘していたように、耳を大きくしても、大きいだけのどっかの星人になったのではだめだということ。

それは民間でアンケートをとっている人にも言えることですし、私自身もアンケートを作っていたので、言えるのですが、アンケートはどうとでも誘導できる物ですよ。

「良いマーケッターは自分が思うままのデータを出せる」といわれています。質問の順番を変えればいいだけなんですよね。また、段階を六段階か四段階にするかという事だけでも、人間の気持ちって変えることが出来ます。そのデータを持って何を自分たちがすべきか、ということに対して、ちゃんと市井の意見を聴ける人を育成して、その人を先ほどの話の様に外部へ送り出して、その人たちが中にいるという状況を作り出していく方が本質的には健全です。

奥村

市民側も声を上げないといけない。「わたしたちの意見をどこで、どのように聞いてくれるのか」ということを含めて、強く考え、実現していくアクティビストであるべきです。物言う市民ですね。

庄司

苦情や批判など、たまりかねて発する声の分析も良いのですが、たとえば商品のクチコミサイトには「ここは素敵」「ここは駄目だけど、ここが良い」などと、良かったこともレビューが書いてあります。こうした「ほめている情報」の中にも課題や「よいものとは何か」という価値についての情報があるのではないかと考えています。

物を言うのは、誰でも不満ベースです。そうではなくて、今は公共に対して日常的なつぶやきやブログはあるかもしれないですが、積極的に何かを評価するような「レビュー」はないです。

奥村

「価格ドットコム」の行政版を作らなければいけないな。

庄司

そういうものがあれば、違ったことが見えるかもしれない。敷居が低く、好きなことを書ける。

平本

僕たちもそれを行おうとしました。それは、報告書をAmazonみたいにしたら面白いじゃないかな、ということです。星を付けたり、レビューを書ける。しかし「それは衝撃的過ぎる」ということで、実現はしていません。

信朝

Amazonなどを見ていると、平均で4点、5点もついているのに、コメントがひどいものなどがある。だから「良い」と思っている人は声を出さない傾向があります。でも、Amazonで星を付けている人はシチズンシップだと思っていて、Amazonのレビュアーであることに自分で何らかの参加意識を感じて、それに対する報酬も感じている。

ある種の理想論になるかもしれないが「シチズンシップはどう育てるのか」を考えると、行政の色々なオープンに出来るところがあります。

「面白法人カヤック」がやっている「今昔物語」では、高専の生徒が写真を集めています。

普通高校写真部の子は、卒業後も地元にいることが多い。だから地元の写真を撮らせたら本気で撮りに行く。

そうした愛着、シチズンシップをどう持たせると、良い響き合いが作れるのかなと思いまます。実際にアマゾンや価格コムはよくわからないが、いくつかそういうことが今後、出てくるのではないでしょうか。

Code for Japanがやりたいのもそこです。僕らは行政と対立する団体ではなくて、とにかく「良いところをほめる団体」です。

行政をアイデアソンなどに招くと、職員の方たちは大体いつも文句を言われてばかりの立場なので、最初は警戒されたり、驚かれたりします。「こんなにポジティブに歓迎されることはない」と最初、びっくりします。

そういう中で「困っていること」を話し合い、「こうしたほうがいいよね」ということを、できることを持ち合ってオープンに解決していく。そこで関係性がとても変わります。

また、先ほどのシチズンシップでいうと、僕らの活動の中でいうとマッピングパーティーなどはそうした「よい効果」を生んでいます。

北海道の室蘭市では「ローカルウィキ」という活動があります。地元の人と街歩きを行い、図書館で調べごとを行い、ウィキに書き込んでいく。その様な室蘭の事しか書かれていない事に対して、自分たちが書いていく中で改めて、書き出していくと自分の街を更に好きになっていく、街を編集する行為でシチズンシップを高めるという活動が色々な所で、生まれてきています。

参加自由な対話の場がシビックプライドを高める
奥村

それは非常によい話で、シチズンシップを高める時に自然に高まるのか、市民の中で誰か意識が高いリーダー的な人がいて、その人が引っ張っていくのか、そのどちらが多いですか?

オーガナイザーがいるところが多いです。まとめる人がイベントを立ち上げて人を集めていきます。

村上

そこに集まった人から、核になる人が出てくるとうまくいきますよね。

信朝

昔ベルリンに住んでいたことがあったのですが、ドイツの町でいつもびっくりすることは、そのあたりを歩いている誰に聞いても自分の街の事を説明できます。「この城壁が何世紀に出来て、こういう王様がいて…」ということをみんな説明できる。

これは圧倒的に日本が追いつけていないし学ぶべきところです。

自分たちの社会や作り上げてきたものをポジティブに語ることに慣れていない。ついつい、謙譲の気持ちはあるかもしれないけど、悪いことは割と言いがち。一方で「自分たちの町のここがきれい、ここの風景が好き」というのは言えないままで社会が出来ています。そこをうまく考えていかないといけません。

シビックテックというかCode for Japanで盛り上がっているまちは、「自分の街が好きな人が多い」という点に共通項があります。

奥村

僕が教えていたドイツ人の学生のことですが、彼が中学生のころ町に新しく橋を作る計画ができたそうです。このプランについて市民の声を聴くためのサイトを、10代半ばで運営していたと言っていたことを思い出しました。

それは彼に言わせると「当たり前のこと」。「街を愛する心」が強いのですね。

杉浦裕樹(以下杉浦)

みなさんのお話を聞いていて、色々な人たちが参加できる仕組みをどうつくるのかが、焦点だと思いました。

僕はヨコハマ経済新聞というネットのメディアを運営しています。そのネットワーク「みんなの経済新聞」は、全国で100以上の編集部があります。

各地域の編集長というのは、例えば今の都市と街のキーワードの中でいうと、リノベーションという言葉もそうだし、昔はワークショップという云い方をしていたけれど、最近だとアイデアソンやハッカソンという対話の場についての記事が、色々な経済新聞の記事の中にちらほらと出てきます。

各地の編集長がその街の「創造的な人達」の所在を抑えている。このようなネットワークが出来てきたのは非常に面白いと思っています。

みんなの経済新聞の編集には、ブレンドの妙みたいなものがあって、ほとんどグルメやイベントの情報の中に「スッと」リノベーションなどの言葉が入ることで、ユーザー的な市民にも「そういうことがあるんだ」ということが伝わる。いきなりリアルにつながって、参加するまでに至らなくても愛着を示すしかけがあります。多様な参加の仕組みづくりを目指すことに価値があると感じます。

小林

Code forとみんなの経済新聞の文法が重なるということは面白いし、合うかもしれない。

「Code for×みんなの経済新聞」というイベントが出来るかもしれない。

今はメディアの話であり、ローカルメディアの役割は重要だよね、と聞こえるかもしれない。

杉浦

やはり、楔のように刺さるかもしれない。Code forの影響を受けた人が役所の中に入っていって、楔のように刺さることで、そこから見えることがこっち側に繋がってくる。ローカルメディアはそれと似たような効果というか、ある意味アクセス権を持っているのでそれが出来る。

奥村

本当は新聞がローカルメディアでしたよね。

杉浦

もう一つはローカルコミュニティ。町内会や商店街、ソーシャルインクルージョンという福祉の分野の中で横浜市では大きく健康福祉局、横に大きく社会福祉協議会がある。

市役所は18区に分かれて、社協も区ごとにある。そこで地域の福祉計画というものを、地域の事を地域の人と共にやるというのが長年続いていて、その参加型に選ばれる人というのは連合町内会長とかという人がしばらく続いていました。その様なものを変えていくことが非常に大事だと思う。

そういう福祉、ソーシャルインクルージョンの文脈から、上手にそういうところにICTやノンフーが分かって、リバレッジの感覚を持った人。要するに情報のラインマネジメントの感覚を持った人間がそこに入り込んでいきながら、最初は記録を引き受けますよという感覚で入っていきながら、やっていくことでうまく配していく。そんなに額かからないので、そんなところに社協や役所や区役所の予算などを配していく。とにかく入ってその場にいることが大事。

奥村

そういう意味では自治会も町内会も旧内務省系。

社会福祉協議会も元をたどると旧内務省であり、結局は地域の支配の為に上から目線でメンバーを選んでいる。

杉浦

結局は役所の姿勢がまだまだですね。職員は、議員と町内会の人に従いますが、それ以外にまだつながれていない。

もう一つは議会の話。議会の政策決定のプロセスを事務方が作るのですが、結局は議員が決めるということになっている。そこをもっと見えるようにしないといけない。そのための「政策見える化カード」です。

村上

議会の分野では、「議事録システム」がどこでもあるのですぐ集めて分析できるのですが、使っていないですね。

奥村

それもありますが、議員にもよりますが、議会が市民から離れてしまっているように思います。

平本

霞が関のコミットの事で「関さんがもっと褒める」ということを言っていたし、LODチャレンジでも評価することを推奨しているじゃないですか。

海外だと電子政府や、電子政府に関わっている人は、表彰制度があって賞にノミネートされます。日本ではどうしても、たまたまそこにいた部署の課長がすごい人のように扱われますが、そうではなくて本当にがんばった個人を表彰します。

オープンデータ界隈の1個人の活動に対して「きちんとした審査基準で表彰されました」という事が、人を巻き込む力になるかもしれません。オープンデータ500もいいけれど、オープンデータ500パーソンとか、オープンデータガバメント100とか個人を扱ったら盛り上がります。

奥村

その例でいうと、ハーバードでは「行政イノベーションアワード」というのをやっている。もともとはフォード財団がやっていた。

これは、行政の中のイノベーションを行ったチームや個人を表彰する。首長は関係ない。

信朝

参考までにオープンデータ100とオープンデータ伝道師という事業を実施することにしています。

平本

オープンデータ伝道師というのは、民間人を選ぼうとしているのでしょうか。

信朝

民間人も選びますが、役所も選びます。

奥村

役所がやるものとは別でいいのではないでしょうか。視点が違います、と。

信朝

こちらはオープンデータの話なので、ガバメントとは話が違います。オープンデータ100の中で主体的な役割を行った人に対して伝道師を作っている。ただし、予算がないので素晴らしい賞品をあげられるわけではないです。恐らくはCIOからの表彰とかです。(笑)

平本

海外の表彰もほとんど商品はありませんね。

村上

行政イノベーションアワードは自治体職員以外も選ばれるのでしょうか。

奥村

基本的には職員がやっていて、今は地方も国も含めてやっています。

平本

若い人を応援するような顕彰制度があるといいですね。ノミネートをして、みんなに投票させるやり方も面白い。

「ワークライフバランス」整備が市民参加の基盤
奥村

全然視点がちがうことを最後に1つ。前から言っていますが、本当に普通の市民が参加するには時間がありません。時間の設定によっては、高齢者や時間に余裕がある人だけの『参加」になってしまいます。働いている人も参加できるようにしないといけない。

そして、これは社会の方で変化を主導していく必要があります。夜7時までに帰るとか、ワークライフバランス、新しい働き方、生活の仕方を見直し、地域に参加しやすい方向に変えていくことが必要。

その意味ではワークライフバランスが特に大事だと思っていて、時短勤務が子育て期間や介護期間のみと考えずに「ライフの一部で社会に貢献している」という意識をもって、ワークライフバランスを含めた環境整備をしていかなくてはならない。そう思いますね。

〈了〉

〈座談会メンバー〉

  • 奥村 裕一さん
    東京大学公共政策大学院 客員教授 【プロフィール】 1948年、兵庫県生まれ。 通商産業省(現経済産業省)に入省し貿易局長、貿易経済協力局長などを歴任。退官後、情報通信技術を活用した行政改革、電子政府の研究を本格的に始める。京大大学院客員教授、ハーバード大客員研究員などを経て、08年6月から現職。
  • 村上 文洋さん
    株式会社三菱総合研究所 主席研究員 一般社団法人オープン&ビッグデータ活用・地方創生推進機構(VLED)事務局 【プロフィール】 1960年愛知県生まれ。名古屋大学工学部建築学科卒業(一級建築士)。地域設計研究所などを経て、1988年三菱総合研究所入社。政府の電子行政オープンデータ実務者会議利活用推進WG構成員などを務める。専門は、電子行政、地域情報化、オープンデータ、ユニバーサルデザイン。この対談後の2015年11月から「一般社団法人コード・フォー・ジャパン」が自治体に民間ICT人材を派遣するコーポレートフェローシップ制度により横浜市の『オープンイノベーション』のためのプラットフォーム形成の支援」プロジェクトに参画する。(〜2016年2月まで)
  • 信朝 裕行さん
    内閣官房 IT利活用戦略推進官 【プロフィール】 1988年、東京大学工学部卒業。同年(株)三菱総合研究所、入社。経営コンサルティング部門にて10年余り、自動車・電器・通信など多様な業種の、企業行動や事業構造等の改革、IT対応やグローバル組織構築等、経営課題解決のための戦略プロジェクトに携わる。1999年から2年あまりベルリンに駐在、日本企業の欧州展開に関わるコンサルティングに当たったのち、2001年5月に(株)電通に転職。プランナーその後プランニングディレクターとしてマーケティング及びコミュニケーション戦略業務にあたる。2015年4月から情報通信技術(IT)総合戦略室 IT利活用戦略推進官。
  • 関 治之さん
    一般社団法人 コード・フォー・ジャパン 代表理事 【プロフィール】 1975年生まれ。大手ソフトハウスでの金融系システム構築などを経て、2009年に「Georepublic Japan」社を設立。11年の東日本大震災の後、エンジニアの自発的な動きによって動き出した震災復興を支援サイト「sinsai.info」発起人に。その後「ともに考え、ともにつくる」を理念とする一般社団法人「コード・フォー・ジャパン」を2013年に設立し、代表理事に就任。市民がテクノロジーで地域課題を解決する「シビック・テック」活動を啓発・推進している。
  • 庄司 昌彦さん
    国際大学 グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)准教授・主任研究員。学習院大学/横浜市立大学非常勤講師。 【プロフィール】 1976年、東京都出身。 中央大学大学院総合政策研究科修士課程修了。おもな関心テーマは情報社会学、電子行政・オープンガバメント、地域情報化、社会イノベーションなど。2010-2012年、内閣官房IT戦略本部「電子行政に関するタスクフォース」構成員を務めたほか公職多数。一般社団法人オープン・ナレッジ・ファウンデーション・ジャパン(OKFJ)代表理事、一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)理事なども務めている。
  • 平本 健二さん
    経済産業省CIO補佐官(政府CIO上席補佐官) 【プロフィール】 1964年神奈川県出身。国内大手システム・インテグレーターで、システム開発、営業、戦略立案、政策立案などを経験後、新規コンサルティング会社のパートナー、大手システム・インテグレーターのコンサルティング部門を経て現職。電子行政、オープンガバメント等、新しい行政サービスや行政モデルの推進に取り組む。特に文字や語彙(データ)等の社会の基盤作りや、調達・制度等を国・自治体一元的に提供する利用者視点でのサービス構築にも取り組む。
  • 小林 巌生さん
    特定非営利活動法人リンクト・オープン・データ・イニシアティブ副理事長 有限会社スコレックス代表取締役社長 一般社団法人オープン&ビッグデータ活用・地方創生推進機構委員 【プロフィール】 1977年 神奈川県出身。 有限会社スコレックス代表取締役社長、特定非営利活動法人リンクト・オープン・データ・イニシアティブ副理事長、一般社団法人オープン&ビッグデータ活用・地方創生推進機構委員 ウェブデザイナーとして大手企業や自治体等のウェブサイト構築プロジェクトに多数参加。また、情報アーキテクトとして地域情報×ウェブをテーマに活動。横浜開港150周年Y150、市民参加都市ブランディングプロジェクト「イマジン・ヨコハマ」等、横浜に関する情報系の企画やデザインに多数参加。LODチャレンジ、Code for YOKHAMA等での活動を通じて、政府や自治体、公共機関のオープンデータ施策の支援も行っている。

〈オブザーバー〉…一部座談会で発言あり。

  • ソフトバンク・テクノロジー株式会社  営業本部 公共営業統括部 プロジェクト推進部 青木 沙織 (事務局)
  • NPO法人横浜コミュニティデザイン・ラボ(記録) 代表理事 杉浦 裕樹/理事 宮島 真希子